続・一揆鎮圧の後日談。試用期間が終わり第4軍団に本採用(強制)された主人公。千人長候補となり、実入りも良くなってきました。名目上は従者扱いであるゴルラとリシュにも恩恵があることでしょう。

その後主人公が所属する派閥の長であるディミトリ王太子と打ち合わせ+国王への謁見中に王弟が乱入。王太子が蹴散らされてしまいます。見るからに頼りない男なわけですが、マルグリットと異なり領地経営を任されることはなかったようですし、こうなってしまったのは親である国王にも原因があるんだろうなと思ったりする。

王弟が王位簒奪を企てているのは公然の秘密であり国王もそれを認識しているものの、全面衝突を恐れ行動を起こせずにいるようです。地球の歴史を振り返ってみると国王の判断は間違っているわけではありません。生産性が低い時代に国を維持するためには妥協が不可欠であり、その過程で特権階級が生れ有力者に各種権限を与えることによって離反を食い止めてきました。なんだかセコく感じてしまいますけど、この努力をしなかった全ての民族は妥協によって勢力を拡大してきた国家という存在に少数派として服従することになるのだから、筋を通して国を割るような人間よりも評価は高くあってしかるべきでありましょう。一方で王家による強権を望む王弟も間違ってはいないんですよねえ。領主任せより中央政府主導で物事を決めた方が効率が良くなるのは当然の成り行きであり、中世から近世への移り変わりを感じさせます。もっともこのやり方は王家に求められる役割が増えることも意味しており、その結果世襲制では国の運営が困難になっていくわけですが、そのことが表面化するのはずっと後なので今は気にしなくていいのかも。