
復讐前に勇者パーティサイドのお話。重婚した勇者とその仲間たち。ガブリエラは魔王との戦いが終わったら自分が捨てられてしまうことを心配していましたが、そこまでクズではなかった勇者。いやまあ最終的に捨ててしまうんですけどわざわざ結婚を公表したのだから、主人公による妨害さえなければ世間体のためにも老後まで面倒を見る覚悟はあったと思いますようん。悪役を単純なクズとして描かないのがこの作品のいいところです。アプリ版のコメント欄見るに不評っぽいけど俺は好き。

一方、婚姻後も性欲全開な勇者さんとその求めに応じてしまうレモラ姫こと王女殿下。ここだけ見ると只の尻軽女なんすけど、アウトロー寄りな勇者を改心させるほどの器量を持った王族に相応しい聡明な人物であることが後から判明します。主人公にこの資質があれば全員幸せになれたのではないか、と思わせてくれる人です。そんな人間でも股を開いてしまうのだからそれがこの世界の常識であり、やたら貞操観念が高い主人公の方が非常識だったのかなと薄々思っている。

場面が変わり魔族視点。復讐開始までもうしばらくお待ちください。魔王が居なくなり迫害を受けるようになった魔族たちは、正体を隠しながら人間社会の中で暮らしているようです。人族の善意に縋りながら生き延びる日々。主人公のことを悪く言うこともなく、全員が噂を信じているわけではない模様。

そういった人でも魔族を見るや否や態度が急変。憎悪剥き出しで殺そうとしてきます。クズが差別するよりも、善人が差別する方が問題の根深さが伝わるよなあ。そんな魔族を治療した主人公さんは、読者が想像する以上に仲間から嫌悪されていたのでしょう。ティナは主人公が魔王に寝返ったというデマを流しましたが、それを思い付いてしまう下地があったわけですね。なかなか深い。